[方言学]:どうにも体調がしっくりこない中、とりあえずワロニー方言学の授業へ。先週は「方言」という事象の二つの捉え方の一つ、空間的(spatial)な次元についての話だったけど、今日は引き続いてもう一つの次元、社会的(social)な次元の方言の捉え方。まぁなんのことはない社会言語学の超・超・超・基礎的概念である「ダイグロシア(diglossie)」のお話。これは分かりやすい。Ch. Ferguson(←当然「フェルギュソン」と発音される)からJ. Fishmanの概念の拡張とかの話しをざらっと。
どうやってこの社会言語学的概念が伝統的方言学に接続されるのかが興味あったんだけど、結局のところは、Fergusonの狭義の定義(系統関係の存在)の時に観察される下位の言語変種(langue basse)が「方言」であるってことでしかないのかな、と。
ワロニー語教室にも通っているおじさん受講生の「ワロニー語は言語?」という質問が興味深かった。先生は:
Considérer le wallon comme une langue ... Oui, on peut le faire ... Mais...
と。間も置き方も含め面白かった。これが伝統的方言学者の立つ位置。質問したんだけど、ちょっと怖いんだ。
昨日から3日間リエージュ大学で行われているシンポジウムの発表を一つ聞きに行こうと家を出るも、センターでちょっと時間を潰している内に「なんか今日はもういいや~」という気分にパクッとやられてしまいやめにする。その途中、Kruidvatといスーパーの店頭で非常に興味深い広告を見つけた。ということで鉄道、交通費にまつわる話。
この切符はスーパーのKruidvatと鉄道会社のSNCB/NMBS(Société Nationale des Chemins de fer Belges / Nationale Maatschappij der Belgische Spoorwegen)が共同で企画した限定乗車券で、2008年12月31日まで同日であればベルギー国内のSNCBの二駅間の往復が可能(もちろん2等)という切符。そのお値段が8,99EURとお安い!! 片道ならば4.5EUR(≒600円)ということでこれはこれはお得。下で見るように、今でもいくつかの割引を駆使しているんだけど、図書館や公的機関の訪問などブリュッセルやルーヴァンなんかにどうしても「平日に」向かいたい時があるわけで。決断早く、6枚購入(写真:左)。
この割引チケットの「威力」を証明するために、その他の割引制度/チケットとの比較:
【Kruidvat-SNCBチケット】
・ベルギーないどこでも往復8,99EUR=片道1回4.5EUR
・12月末日までの期限設定+平日は9:01以降の利用制限
・発売期間が10月7日~18日
【週末割引(Billet Week-end)】
・週末(金曜日の19:01~日曜日)は往復料金が半額(=片道料金)。
・通年の利用で、普通に窓口で買えば割り引いてくれる。
【Rail Pass】(写真:右)
・SNCBの2駅間の片道乗車が10回で71EUR=片道1回7.1EUR
【Go Pass】
・SNCBの2駅間の片道乗車が10回で46EUR=片道1回4.6EUR
・26歳未満…
ということで、今ではGo Passを使用できなくなってしまった…僕には、その「威力」は計り知れないわけで。
備忘録として、SNCBの通常運賃(2008年10月現在):
距離 | 通常片道 | 通常往復 | 週末往復 | RailP往復 | Kruidvat | |||
リエージュ | ― | ブリュッセル | 104km | 12.90€ | 25.80€ | 13.60€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | ルーヴァン・ラ・ヌーヴ | 99km | 12.30€ | 24.60€ | 13.00€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | モンス | 137km | 17.00€ | 34.00€ | 17.80€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | トゥルネ | 185km | 18.40€ | 36.80€ | 19.20€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | ナミュール | 60km | 7.70€ | 15.40€ | 8.40€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | アルロン | 150km | 18.40€ | 36.80€ | 19.20€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | ヴィセ(Visé) | 19km | 3.00€ | 6.00€ | 3.80€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | アントウェルペン | 119km | 14.60€ | 29.20€ | 15.40€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | リューヴェン(Leuven) | 71km | 9.30€ | 18.60€ | 10.20€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | ヘント | 154km | 18.40€ | 36.80€ | 19.20€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | ブリュッヘ | 193km | 18.40€ | 36.80€ | 19.20€ | 14.20€ | 8,99€ |
〃 | ― | オーステンド | 216km | 18.40€ | 36.80€ | 19.20€ | 14.20€ | 8,99€ |
こうして見ると、ベルギー国内の最高運賃は片道18.40EURみたい。オステンドからアルロンまで4時間電車に乗り続けても(距離はわずか312km:大阪から実家まで帰れない距離…)18.40EUR。
朝、起きて、うーん、調子が、悪い。昨日多少ましになったはずなのに油断したのがいけなかったのか、具合が悪い。とりあえず土曜日、部屋を思いっきり暖かくして、お勉強という名の休息。休息という名のお勉強。とりあえず咳がとまらない。
初めて一日中わりと集中してやらなければならないことをこなせた。よし、サッカーだ。StandardとMonsの試合が20:00から。Monsは8年前に留学していた地であるし、その時代は3部リーグとかにいるようなチームで、それでも幾度もスタジアムに足を運んだチーム。いまじゃ~一部リーグで、Standardなんかと試合するなんて、信じられない、という感じで。
家の前から混み込みのバスに乗って10分。前回明るいうちに無為に訪ねたStandard de Liègeのホーム・スタジアム。今日は人で溢れかえっている。露店は出て、なんともよい雰囲気。とりあえずプラスチックの容器に入ったJupiler(1.8EUR)を買って、それを飲み飲み切符売場へ向かう。今年は年間チケットが好評で、一般売りの席は余りないらしい。空間的に高い席、金額的に安い席を購入。P1というブロックで、当日券が13EUR。なんと嬉しいことに「学割制度」がある!一般よりも5EURもお安くしてくれる。いいチームだ~。
螺旋階段を上って席へ向かう。途中で、Jupilerをもう一杯。外でも中でも同金額。なんやかんやしている内に試合は始まっていて、ビールを購入しているときにちょうどStandardが点を決めた! 見れなかった…。席を探していると、観客のおっちゃんが「チケット見せろ」と優しく(!)場所を教えてくれる。自分の席に行くと先客あり。子供が座っている。隣のお父さんらしき人に声をかけると、すぐに動こうとする。そしてそれを見ていた後ろの人が、後ろに席あいてるからそこに座ったらと導いてくれる。なんと優しい、このチーム。このあたりの席、やたらにちっちゃい子供たちが多い。こういうマッタリ雰囲気サッカー観戦はよい。
試合:まぁとりたてて見るべき内容はなかった「駄」試合だったけど、試合の展開はそれはそれで面白かった。見れなかったStandardの一点目、後半になってMonsが一人退場になってからイケイケになった矢先での同点。そして、ロスタイムでのPKゲット、そして勝利。それはそれは信じられないくらいの展開で。みんなも大満足のようでした。僕もスタジアムの雰囲気(本当によいスタジアム!!)も含め楽しめた!
試合が終わってバス停でバスを待つも、一時間待ってもバスは来なかった…。きっと特別にどっか別ルートで走ってるんやろうね。周りに聞いても誰もわからず。というか、ほとんどが車で来ている。そしてほとんどがお決まりの路駐。寒くて…頭が痛くなってきたので…歩いて帰った。途中、トイレに行きたくて緊急避難的にカフェに立ち寄りJupiler(写真:右)。1.5EURのトイレ代。 具合、よくない(T_T)
引き続き静養。昨日の夜の寒さにやられてか、喉の違和感はさらに向上。
[我が住み家]:kot(←そもそもこの単語がフランデレン/オランダ語に起源にもつベルギー特有のフランス語=ベルジシスム(belgicisme)。「フランスのフランス語」で言えば、« studio » というところ。要するに建物の中の一部屋を借りる「間借り」システム)。建物の前はちっちゃいロータリーで、バス停と教会(左)。窓の外にはリエージュのGuillemins駅が見える(中)。で、そのGuillemins駅は目下大工事中(右)。
で、この « Guillemins » とう名称。僕の知識では「ギィユマン」と発音したくなるんだけど、どうにもみなさんの発音を聞くと「ギマン」。« guillemet » が常に「ギィユメ」ではなく「ギメ」と聞こえるのと同じ現象。
そんな感じの住まい。大きな欠点は、壁がとてつもなく薄いこと。物凄くとなり、上下の部屋がうるさい。夜遅くまで。ただしほとんどがベルギー人なので週末は圧倒的に静かになる。周りが煩いのは反対に気が楽。こっちも思いっきりウルサクできるので。
[SNCBの看板]:街中にある看板が好き。特にSNCB(鉄道)の広告はその表現がとても面白くて好き。結構以前の話だけど、THALYSの宣伝に以下のような「フレーズ」があったりと(うまくベルジシスムを利用)、
なにかと期待させてくれる。で今回、見た広告。これもなかなか面白い。
下に小さく « Le Train, vraiment malin » とある。 « malin » って「抜け目のない」とか「気のきいた」という意味もあると辞書が教えてくれた。けどそれまで、この語は「意地悪い」とか「有害な」の意味しか知らなかった。
社会言語学の授業がなかなか興味深かったけど、その話は後回しに。
大学の近くにある「漫画屋さん」に行く。『はじめの一歩』の15巻が出てた。というのが目的ではなくて、目的は『タンタン(Tintin)』。それも内発的地域語(lagnues régionales endogènes:かつて「方言」と呼ばれていたことばの現在の公式名称)版のタンタン。探してもなくて聞いたら、なんとも奥まったところに展示、と言うより保管。ありました。『カスタフィオーレ夫人の宝石(Les Bijoux de la Castafiore)』のリエージュ・ワロニー語版!(他には、ピカルディー語のものとフランコ・プロヴァンサル語のものも!) 11.50EUR。
タイトルは、ワロニー語版とフランス語版でそれぞれ、
« L'èmerôde d'al Castafiore »
« Les Bijoux de la Castafiore »
「ワロニー語(le wallon)は現在ではフランス語とほとんど同じ」とか、「ベルギーの公用語はワロニー語」とか、「ベルギーではワロニー語と呼ばれるフランス語」とかよく説明されているけど、このタイトルの違い見ただけで、少なくとも「同じ」とは言えない。「個別の正書法と文法を備えたフランス語とは異なる一言語」というのが僕の立場。ここで「一」を強調したのは、実は同じくワロニー語でもその他のバージョンが出ているから。最近も「シャルルロワのワロニー語」版が出たところ。
2冊買ったので『アトリエ・タンタン(l'atelier Tintin)』という本をおまけで貰えた。これはタンタンを書く手解きをしている本。この漫画屋さんは日本の「MANGA」の品揃えがなかなかに豊富。ベルギー人が日本のMANGAを買う、日本人がベルギーのB.D.を買う。問題のない相互互恵関係。
今日からワロニー語の授業が始まる。期待に胸を躍らせて、ちょっと緊張もしてみつつ、教室へ向かう(この教室が美容学校の施設を借りてやっている、近くにはワロニー語の劇を見ることができるThéâtre Trianonがある)。UCLの会長のPaul LEFINが受付をしていた。まだ受講料を払い込んでなかったのでその旨を伝えると、「無料!」と言われる。何故??? そのままでもよかったんだけど、気になったので理由を聞くと「25歳以下は無料」と。いや…違う。思わずそんな年はとっくにこえてしまってることを申告。一年間13EUR、正直者は…。にしても25歳以下に見えたかね…。
さて、授業。クラスは「一年目」、「二年目」、「三年目」の3つのクラスに分かれていて、当然のことながら僕は初級クラス。それでも心配なくらい。クラスの受講生の数は…4人。うち一人は僕で、もう一人がUCWに今年から働き始めた男子(受け付けの際やそのほかことあるごとに優しく接してくれる)。あとはおばちゃん、おじちゃん。計4人。語学の授業として理想的環境かもしれないけど、なにせ「滅びゆく地域語の授業」ってことを考え合わすとこの少なさはちょっと複雑。さらには人数が少ないので発音とか質問の順番がものすごく「まわってくる」。一瞬たりとも気を抜けない…。みんな和やかな雰囲気なんだけど、その実僕はとてもぴりぴりしていた。
授業はまず「なぜワロニー語を学ぼうと思ったのか?」という「動機」を語るところから始まる! 続いて、「発音」の規則、というか練習。もちろん同じオイル語仲間としてフランス語に類するとこもあれば、異なるところもある。母音の長短が常に弁別の価値をもっていたり。
フランス語の母語話者としての直感があるわけでもないのでなかなか難しい。ただ、先生(しぶいおじいちゃん、ただしふつ~の人ではなく、さりげなく言語学的知識をもっていて興味深い)も丁寧だし、興味深い。
フランス語とワロニー語の干渉の現象:たとえば、伝統的にワロニー語では「来週の土曜日」のことを « sèm'di qui vint»(fr. samedi qui vient)と表現するのを、いったんフランス語を習得したワロニー人たちの多くは、今度再びワロニー語を話そうとする際に、フランス語的な表現である « samedi prochain » からの類推でそのれに順ずるワロニー語の表現を作り出してしまうという現象があるらしい。面白い。
再び受講者数についてだけど、一年生はすでに述べたように4人、二年生は10数人、そして一応の最終学年である三年生は40-50人ぐらい。最終学年の生徒だけ教室がぱんぱん。これは何年も授業を受けている人は最終学年にたまっていく(言葉が悪い)わけで、当然と言えば当然なんだけど、この逆三角形の歪んだ(と僕には思える)受講生数の比率が現在のワロニー語の状況を雄弁に物語っている。そもそも若者はほぼ受講していないわけで、さらには今年の新入生が僕を入れて4人(一人はUCWの職員、あとの2人も御年輩で、一応はワロニー語知っているけどちゃんと一から学びたいという人)。将来このお年寄りの人たちが亡くなったしまうと(言葉が悪い)、そこでワロニーを知っている人がいなくなってしまうわけで、まさにワロニー語(復権運動)の現状ここにあり。いくら政策をもって法的保護の枠組みが整備されていっても、新しい話者が登場しないことには、結局「象徴的なもの」にとどまってしまうというジレンマ。う~ん。
同じ研究科の友が留学のためにリエージュへやってきたので、ベルギー史の授業をお休みしてPlace Saint-Lambertのカフェで昼からビール(あっ学食でもビール、Leffeが1.3EUR)した。寒い中テラスでのビールがたたったのか、それとも授業に集中しすぎたからなのか。頭が痛い。咳も相変わらずとまらず、席をすると頭にがんがんと響く。かれこれ一週間、風邪が治ってない…。風邪!?
大学に行って日本から来た友に頼んでおいた「新コルゲンコーワ」をもらう。その後は、家さがしにつきあったり街をぶらぶらしようかなとは思っていたんだけど、断念。家に帰って寝る。
とは言っても昼前から寝れるわけでもないので、ちょっとビアー。ビアーを飲むと、咳が止まり頭痛が止む。百薬の長。コルゲンもビアーで流し込む。ヨクナイ。もう「クリスマスビアー(Bière de Noël / Kerstbier)」が出てた。もうそんな季節か~。
ワロニー方言学、辛かった…。先週の授業の最後の方にJuller Fellerの正書法(1900年)についてちょっと説明があり、今回はそれ以前に独自の正書法で記されていたワロニー語をFellerの正書法に変えていくって作業。題材はラ・フォンテーヌの寓話『Li Moirt et l'Mâlhureux』。一人2行づつぐらいで黒板に順番に書いていく。僕の順番…先生に「どう?」と聞かれ、「出来ない…」と。悔しい…。能動的に参加できない1時間半、途中、もうやめた、この授業!!と決意したんだけど。授業後に先生に「慣れないうちは当然」とかなり慰められ。相当な悔しさ。宿題:ラテン語やフランス語の単語がいくつか挙げられそれがどのようにワロニー語となったかをFellerの正書法で書いてくる。無理かも…。
昨日の新聞(Le Soir)から:「言語的差別を罰する(Punir la ségrégation linguistique)」
背景として2007年5月10日に採択された法律「いくつかの差別に対抗するための法律(Loi tendant à lutter contre certaines formes de discrimination / Wet ter bestrijding van bepaalde vormen van discriminatie)」(Moniteur Belge / Belgisch Staatsblad, 30.5.2007)がある。(ただしこの法律自体も、2003年の時点では Vlaams Blok などの抵抗で、保護される差別規定から言語や政治的信条が削除されたという歴史がある)。この2007年の法律が対象とするのは以下のような要因に起因する差別:
年齢、性別、戸籍上の身分、出自、財産、宗教・思想的信条、政治的信条、言語、健康状態、ハンディキャップ、身体的・遺伝的特徴、社会的出自
しっかりと「言語」に起因する差別とも戦うことが明記されていながら、実際のところ言語差別を監視する組織が作られていない。そのことが問題となっている。つまり、宗教的信条や性差で差別されているならば守ってくれる組織がある。けど、言語に起因する差別に対しては今のところそれを守る組織がないということ。そこで、フランス語圏側の「改革運動(Mouvement Réformateur: MR)」の議員が中心となって、「言語的多様性促進センター(Centre de promotion de la diversité linguistique)」といった言語差別を監視する組織をつくろうという法案を提出したというお話。この法律が通れば、言語的差別は処罰の対象となる。
それでは、現実に今どのような言語的差別があるのか。新聞によれば、フランデレンにおいてオランダ語(話者)のみを優遇する言語的差別が広がっているという。VilvordeやZaventem、Zemstなどの街では土地を購入することができるのはオランダ語話者に限られ、フランデレン側の法律で土地を借りようとする者にはオランダ語の習得が課せられる。また、MerchtemやOverijseの街では、商売人がオランダ語以外の広告を出すことが禁止されている、などなど。
地域別一言語主義をあまりにも硬直的に推し進めていくと生まれ出てくる障害。というよりも、領域性の原理に則る言語政策がある意味で必然的に抱え込む問題/限界。
金曜日、完全にお休みの日。とは言え大学に行く。目当ては図書館。まったくもって使いにくい施設であることはすでに書いたけど、今日も改めて再確認。書庫の本を出してもらいに紙に書いて提出したら、「この本棚は水に濡れて(!)今使えなくなっている」と! まったく何のための書庫よ。無くなったやら、調査中やら、水に濡れたやら、結局希望の3分の1は参照できない始末。で、他の大学になくてリエージュ大学にしかないってような本に限ってナイ。「どうしても参照したいんだけどどうすればよい?」と聞くと、「他の大学で」と言われる。ないのです…。日本戻るか。
経済というか為替:ユーロが118円!ドルが95円!どうなってる? いまいちEURで奨学金をもらってこっちで生活する上でそれが「得」なのかどうかはわからない。ただ、最近飛行機代が振り込まれて、15万円の飛行機代の日本語の領収書を渡していたので、160円換算でだいたい930EURぐらいかな~と思っていたんだけど、実際に入ったのが1110EURだった。133円換算ぐらいか。少なくとも想像よりも200EURも増えてたので「得」したのかな。
あ~ぁ風邪薬がなくなった。
「世界遺産(Patrimoine mondial / Werelderfgoed)」ってものが好きです。あまりにも西洋中心主義的な制度でも、日本の観光地がそれに狂騒しているのも承知の上で、好き。で、ベルギーの世界遺産。今のところ以下の9か所。
・グラン・プラス(Grand-Place / Grote Markt):ブリュッセル(1998年)
・ベギン会修道院(Begijnhoven in Vlaanderen):フランデレン(1998年)
・中央運河のボート・リフト(Ascenseurs à bateaux du Canal du Centre):エノー州(1998年)
・鐘楼群(Beffrois de Belgique et de France / Belforten in België en Frankrijk):ベルギー全域+フランス(1999年/2005)
・ブリュッヘ歴史地区(Historisch centrum van Brugge):西フランデレン州(2000年)
・ヴィクトル・オルタの都市邸宅群(Habitations majeures de l'architecte Victor Horta):ブリュッセル(2000年)
・スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地(Minières néolithiques de silex de Spiennes):エノー州(2000年)
・トゥルネーのノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Tournai):エノー州(2000年)
・プランタン・モレトゥスの複合施設(Plantin-Moretuscomplex):アントウェルペン州(2005年)
モンスの友達に頼んでいて今日はこの中の「中央運河のボート・リフト」に連れて行ってもらう。La Louvière(Enzo Shifoの出身地!)にある。でまずは、2002年に完成し73.15mのリフトであるStrépy-Thieuのボートリフトを見学。8年前によく電車の車窓から眺めててあれなんだろ~と気になっていた(その当時はまだ稼働してなかったことなんやね)。でかい!すごい!けど観光客はほとんどいない。ちょうど船がのっかて上がっていくのも見れてよかった。
続いて、近くにあるかつてのリフト。4つのリフトとその周辺が世界遺産となっている。今回訪れたのはn°4のThieuのリフト。だ~~~~~~~~~~~~~~れもいない世界遺産。
またまた夜ご飯までしっかりおよばれして帰ってきたんだけど、やっぱり体調が万全ではない。午後からはなんかふらふらしてぼっとなってた。喉は痛いし、咳はとなまらないし。なんか長くて不安。
今日から冬時間。日本との時差が8時間になりました。
前にも載せたけど、この微妙な半端な数字の交通標識。やっぱり気持ち悪い…。
今朝は何となく体調もよく涼しい空気の中いそいそと大学へ向かう。9時開始の授業で教室前到着が9時10分。ジャスト。何故なら、先生が来るのは常に15分遅れ。…。今日は教室前に誰もいない(鍵が開いてない)。うん?? 今日から小学生とかは「トゥッサン(Toussaint)の休み」に入ったらしいけど、大学も??? まさか。しばらく待っても、先生はおろか誰も学生が来ない。また去年のように「冬時間移行失敗」かと思い、時間を通りがかりの人に確認するけど大丈夫。もうちょっと待って、しゃーないので「休み」と判断して帰ろうかな、と。けど納得いかないので、学部/研究科の掲示板を見に行く。「重要なお知らせ」で「授業はあるけど10時~11時だけ」と…。そんなのもあんねやね。それにしてもこの情報を一人だけ知らなかったのがちょっと寂しい…。掲示板見るって習慣ないしね~昔から。
お昼から本屋さんめぐり。リエージュにもFracがある。全体的に日本とは圧倒的に出版業界の規模が違う。Fnacも大きな本屋さんだけど本の量自体は相当に控え目。というよりもそれほど多くの本が日本のようにばんばんと出版されているわけではないよう。学術書となると、ほんのちょっと。とりわけ言語系の学術書となるとそもそもそれ用のコーナーがない。そんな中「ベルギーの歴史」コーナーにて以下の二冊を購入。
Paul-Henry, Gendebien (2008) Wallons et Bruxellois avec la France !, Cortext.
Destexhe, Alain (2008) Le mouvement flamand expliqué aux francophones, Luc Pire.
前者はブリュッセル在の先輩のブログ(Le Journal de Yochiko)に教えていただいたもので(いつも情報ありがとうございますm(_ _)m)、「ワロニー・フランス連合(Rassemblement Wallonie France: RWF)」関連の書籍。ワロニーはフランデレンと離れてフランスとくっついちゃった方がいいってもの。基本的にワロニーがフランスとくっついての解決策ってのはないと思っている。さらには「地域語」または「方言」の在り方にとってはフランスとの「併合」は大きな後退につながると思うので、個人的・心情的に賛成しかねる。それほどシンパシーを抱くものではないけど、運動としては興味あるので。
後者は、「国境なき医師団」の前事務局長であり、現在は上院議員であるAlain DESTEXHE氏の著作。実は数日前、大学の学食においてあったパンフレットの中に、同タイトルの、すなわち「フランス語話者に説明するフランデレン運動」という講演会がブリュッセルで開催されるという情報が載っていた。それは10月上旬の開催で既に終わっていたので、残念だな~と思っていたところ。Fnacでこれを見つけてちょっとときめき、序論を読んでみてまたときめく。このような本や講演が必要なほど、フランス語話者(=ワロニー人+フランス語話者のブリュッセル人)には「フランデレン運動」ってのは理解されてないらしい。ほとんど無知か、誤解か。
ネットが遅い…。もしや単なる回線の不調か?それとも制限があるのか(ベルギーのプロバイダは多くの場合月極めでダウンロード/アップロードの容量制限がある)!?制限ないっておばちゃんが言ってたんだから契約違反!
体調がよい。朝起きた時、違った。まだ咳は出るけどぜんぜんよい。
大学の登録料811EURがようやく払い込まれたよう。期限が迫ってきていたのと、さらには払い込みを終えたという書類が正式な滞在許可証の取得に必要だったのでちょっとヤキモキしてたんだけど、よかった。
さらには「ベルギー史」の授業が面白かった。独立直前のネーデルラント王国(1815-1830)の時代、オレンジ家のウィレム(Willem / Guillaume)の治世の話。9月に今学期が始まって既に授業は少なくとも6回は行われているはずなのに、まだベルギーは「独立」していない。近代的国家はなくとも歴史は綿々と続いている。
ということで、何となく今日は非常に素敵な一日だった。ただし、そんな素敵な気分で、フランス語の授業に行ったら「休講」。まぁそれもそれでよい。街をぶらっと、本屋をぶらっと。
ワロニー語の授業はToutsaitでお休み。。。
ふと思った。ベルギーはフランス語国家か? なんとな
という紹介を聞くと、何となくベルギーは非常に多言語的な国家で、街では3つの言語が飛び交っている、ってイメージが沸く。その実、そんなことはない。全くない。多言語国家と言えば確かにそうなんだろうけど、その理想的・ユートピア的イメージとは相反するような非常に硬直した言語状況がある。地域別一言語主義の徹底、すなわちその地域では必ずその一言語。この(言語)政策は、視点をそれぞれの地域に移すと、完全な「排他的一言語主義」としての姿を現す。ということで、再定義。
先立って、第12回フランコフォニー・サミットがケベックで開かれた(10月17-19日)。オブザーバー国も含め68のフランス語国家の首脳が集う。そこに、ベルギーの代表として首相のYves Leterme氏が参加。う~ん当然フランス語を話すんだけど、フランデレン人…、さらには「フランス語話者は言語を学習する能力がない!」というようなことを言っている(未確認、噂)ような人間がフランス語国家を代表してサミットに参加。気持ちが悪い。フランデレン領土内へのフランス語の普及を徹底的に拒んでいる最たる人なわけだし。ということで、ベルギーをフランス語国家として捉えることで問題が出てくる。現在の体制からいえば、フランコフォニー・サミットに「フランス語共同体」の代表が参加すればすっきりするわけだ。
で、このフランコフォニー・サミット。今回初めて日本が参加を招請されたってことだけど(2008年5月29日の日仏共同文書)、一体どうなった? 何も伝わってこない。誰か行った? 誰が行った? 何をしに行った???
今から、徒歩5分の距離のところへ引っ越した友のところへ飲みに行ってきます(^o^)!
大量の空瓶の始末。袋2つに詰め込んでスーパーへ向かう。家を出る時に大家のおばあちゃんに出会う。大量の空瓶を見られ、ただ「Beaucoup...」と驚か・呆れられる。
大小49本もの空瓶をスーパーの回収マシーンに投入。5.8EURのレシートを得る。
その流れで買い物を続ける。ビアーコーナーにて、Duvel6本セットのパックを2つ(つまり12本)購入すると、グラスがもれなくってサービスをやっている。買うしかないでしょう。「ビールで得たお金はビールへ」、美しき公式。
[1EUR=120円で]:Duvelの330mlが6本で5.57EUR(この値段は5本分で1本サービスの期間中の価格)。ということでなので1本が0.93EUR。日本円にすると、1本が111円。そりゃ飲むよね。このDuvel、大阪のDolphinsで飲むと1300円やしね(それでもDolphinsは好き♪)。けどユーロが圧倒的に安くなってきている今、円高還元ビール・フェアは?
本当にこのグラスの「おまけ」システムが好きな国だ。まめにグラス集めていったらスーパーの「おまけ」だけで結構揃うはず。けどグラスって帰国する時の処置に困る。大量にあったりすると…。
Fnacによって『北の国へようこそ(Bienvenue chez les Ch'tis)』のDVDを買ってくる。今年の春先にフランスで大・大・大ヒットした映画なようで、Fnacでも平積みにされてた。« ch'ti »(« ch(')timi » とも)はフランスの北部で話されている地域語 ― もしくは「方言」― で(ベルギーでもエノー州の西部で同じように話されている)一般的には「ピカルディー語(le picard)」と呼ばれている。大文字で始まって「フランス北部(=ノール県とか)のピカルディー語話す人」、彼らの住んでる所だから→「フランス北部」→「北の国」ってな感じで訳語。DVDはボーナスDVDが付いて2枚組。DVDの表紙には「ベルギー国内販売専用(DVD vendu exclusivement en Belgique)」と。たまに書いてあるのがある気がするけど、何が違うのでしょう?
ゆっくり見てみます。
ちなみにこのDVDは、先日京大で行われたベルギー言語政策学会の関西支部の研究会で話をなさった先生の話の中で紹介されていたのを教えてもらったもの。まったく知らなかった! で、この作品はピカルディー語の「復権」運動をしている人たちにとってはどのように映っているんだろうか。ことばとしての知名度が上ったという点ではいいんだろうけど、それは完全にフランス語の一部としての捉え方だから、別個のものとして主張する者たちにとってはなかなか辛い面もあるのじゃないかとも。まだ中身を見る前の感想。
以前発見してから大分気になっていたRue Saint-GillesにあるVaudréeⅡというベルギービール屋さん(Brasserie, taverne)に行く。それはそれはたくさんのビアーが置いてある。もうメニューからすごい! とはいってもカタグルシイ感じのお店ではなく、ふつーのカフェな感じ。ビールもちゃんと普通のお値段だし。
秘かに「Westvleteren」を飲めるのかな~と期待していた。メニューを開くと「トラピストビール」のところに大々的にWestvleterenが載ってたので、一瞬ときめく。しかし、「残念ながら当地に行かなければ飲むことができません」と…。残念。そうよね。Westvleterenのサイトにも、予約したうえで現地に行った者のみが購入可能な旨、さらには
ともあるし。致し方ない。街はIperの近く。行ってみなければ。
ところで、これ去年ブリュッセルのビール屋さん「ビア・マニア」で購入している(お土産用としてで自分では飲んでいない)。一本12EURという破格な値段設定で…。なぜここだけでは販売されているのでしょう???
11月分のバスのパス定期(=月極め乗り放題券、対応する日本語が見つからないので…詳細)を買いに切符売場へ。二つ売り場があって一つが閉まっていたのでもう一つの方へ。「パスくださ~い」というと、「10分後に向こうの[今閉まってる方の]窓口で帰るよ」と二人いたおっちゃんがとても親切に教えてくれる。で、もう一つの方で待つ、待つ、待つ。10分、15分。20分後、窓口にさっき「向こうで」と教えてくれたおっちゃんがやってくる。あんたやったんか…。さっきは果てしなくいい人やと思ったのに。何の休憩??
石部尚登(いしべなおと):naoto19@aol.com